個人事業主として独立開業

必要な準備、用意するもの

個人事業主は働き方が多様であり、実は独立した際にきちんと開業届を出していなかったり、バイト感覚で続けている人が少なくありません。しかし、それでは損をしてしまうケースも多くなってしまいます。個人事業主として独立開業を目指す方は、是非参考になさってみてください。

※税金や手続き関係は変更・改訂されている場合もございます。詳細は最寄りの税務署や役所へお問合せくださいませ。

  1. 法人とは違い、書類を提出すれば今日から個人事業主。青色申告のことも頭に入れておく
  2. 事業に必要になるアイテム
  3. ネットを通したやり取りにおいて心掛けるべきこと

1.法人とは違い、書類を提出すれば今日から個人事業主。青色申告のことも頭に入れておく

登記事項証明書、印鑑証明書などが必要ではなく、極論を言えば資金がなくても個人事業主として独立開業することができます。税務署に開業届を提出して受領されれば、書類に書いてある『事業を開始した日』から正式に開業したという証明書になります。

この書類は、例えば今後順調に事業が進み、住宅ローンを組もうとなった際や、事業融資を受ける際に事業開始時期を書くとともに、『開業届の提出』を求められるケースもあるため、なくさずに保管しておきましょう。

事業や手続きを行うにあたっては様々な書類が大切になってきます。『開業届の開始日は2020年3月10日だけど、実際にはもっと前から始めていました』と言っても、あくまで書類に書かれたことが優先されます。コロナウイルスにおける補助金申請でも、開業届を出していないために受給できなかった人が多くいたようです。直前に困ることがないよう、開業届は必ず提出しましょう。

引っ越した際に開業届の変更が必要か、最寄りの税務署に確認しましょう。また、確定申告書の提出先も変更になるため、引っ越しが確定した際には忘れずに手続きを済ませましょう。

それから開業届と一緒に提出しておきたいのが青色申告申請書です。白色申告、青色申告の2種類が存在しますが、青色申告は確定申告時の控除額が最大で65万円と非常に個人事業主にとってメリットのあるものです。ある程度の所得を目指している人や、収入が多くなることが見込める場合には青色申告を選んでいる人が多くいます。青色申告を希望する場合には、税務署へ『青色申告申請書』を提出する必要があります。この書類も1枚必要事項を記入し、受領されれば済むものですが、気を付けておきたいのが提出時期によって青色申告の適用が今年分からになるのか来年度分からになるのかが変わってくる点です。

※65万控除を受ける場合、e-taxでの申請をしていることなど、制限が設けられるようになりました。ご注意下さいませ。

提出時期など、心配な点は税務署へ問い合わせてみましょう。青色申告書は控除額も大きくなりますが、その分提出書類も増え、決算書や貸借対照表の作成なども必要になります。毎年税務署や最寄りの施設で確定申告書の書き方を教えてくれる場所があるので、不安な場合には探してみましょう。

税理士に頼んでしまえば必要なものを渡すだけで、あとは税理士が確定申告書を作成してくれますが、まるなげにするあまり実際の経営がどのような状況かを把握していない経営者も多くいるようです。小規模事業者持続化補助金など国の補助金申請時などに経営状況をきちんと説明できないと、それだけで印象も下がってしまいます。税理士に頼むとなると資金も必要になるため、最初から税理士に頼むよりは、売上が少ない最初数年だけでも自身で確定申告書を作成し、経営状況を把握した方が、『売り上げがこの年は伸びたから、この経営方法が合っているようだ』など、分析することにも役立ちます。

2.事業に必要になるアイテム

個人でありながら事業を行っている という点がポイントになってくると思います。例えば個人名義の通帳を使っても商売はできますが、会社として考えたときに、個人の金と事業のお金をきちんと分けているのだろうか?あいまいになっているのではないか? という印象を持たれてしまう可能性もあるため、銀行にて事業用の口座を持つことも検討しましょう。見積書や請求書に書く時にも、個人名義よりは格好がつきますし、信用にもつながります。

個人事業主は法人カードのような個人事業主専用の何かはありません。そして、屋号だけの通帳を作ることもできません。ただし、『屋号+個人名』での作成は可能です。じゃあ結局請求書に振込口座を書くときに、個人名が必要になるではないか と思う人もいるかもしれませんが、それも銀行にて屋号だけで振り込めるようにしてもらうことができます。手続きの際に担当の方へ伝えればOKです。(銀行による可能性もあるため、事前に確認しましょう)

この手続きを済ませれば

○○銀行 〇〇支店

名義○○○○(屋号

口座番号○○○○

と格好がつく形になります。この工夫だけで、一気に会社っぽくすることができるのです。

次に必要になりそうなのは印鑑です。書類作成などにおいて角印、銀行印は必須になります。(口座を作る際にも銀行印が必要です)

見積書や請求書、領収書にも印鑑は必ず必要になります。個人事業主の場合には個人名義の印鑑を押さなければいけないこともありますが、基本的に見積書や請求書などお客様へお渡しする書類には屋号の印鑑が一般的です。最近はWEB上で見積書や請求書、契約書の印鑑の押印が可能になるなど時代が進んでいます。WEBで画像を用いた押印でも法的にも認められるものになってきているようです。(例外もあるかもしれませんのでご確認下さいませ。)

5万円以上の金額の場合には領収書に収入印紙をつけることも必要になります。その際には丸印を押すことになります。角印、丸印(銀行用、印紙用等)の3点あれば十分だと思います。

また、お客様や取引先へ郵送を行う際に封筒に住所などを印刷する方法もありますが、

  • 屋号
  • 責任者名
  • 電話
  • メール
  • 住所

などの印鑑も持っておくと何かと便利です。自筆指定でなければポンと押すだけで完結するため重宝します。

近年はネット上にて電子印鑑やパソコンで入力し印刷するなど便利になっていますので、それぞれ使いやすい方法を選びましょう。電子化された契約書に電子印鑑を捺印することは法的には可能のようですが、きちんと法的効力がある物を探して使用しましょう。

そのほか屋号のメールアドレスなどもあると便利です。個人の場合には使い慣れたメールアドレスを使用することが多いですが、会社としてしっかりしたい・こだわりたい場合には事業用のメールアドレス作成も検討しましょう。見積書などに記載された内容は、会社としての印象にもつながります。どうすればお客様からの信用を得られるか?きちんとした業者だと思ってもらえるか?といった部分を考えていけば、自分の事業で必要なものが見えてくると思います。

プリンターもできれば持っていたいところ。見積書や請求書のほか、書類作成においてパソコン・プリンターはあると便利です。ただ、今の時代はマンガ喫茶やレンタルスペース、コンビニで借りることもできるため、必須ではありませんが、そのような場所でパスワードを保存してしまったり、顧客情報を扱うことで情報漏洩のリスクも大きくなってしまうので、取り扱いには十分に注意しましょう。

3.ネットを通したやり取りにおいて心掛けるべきこと

当サイトをはじめとするネットを通したやり取りは、使い方によってはとても便利で効率的なものですが、顔も見れず、話すわけでもない。そういった環境下でお客様に『この業者はいいかもしれない』と思ってもらうには、どのような努力が必要なのか。忙しいからと言って『うちでは○○円で受けてるんで』『○○円ならやります』などの返事で、果たしてお客様はどう感じるでしょう。一人一人が事業者である自覚を持ち、きちんと自社の施工方法をご提案する理由、価格帯、施工に関するご説明などがあれば、それに合わせるようにお客様の層も変わってくると思っています。

お客様とのやり取りを行うページでは、見積書などの添付を行ってしまうとすべての人に見られてしまうことにもつながります。許可を得ていれば問題ありませんが、個人情報漏洩にもつながってしまうため、見積書などはお客様個人のメールアドレスにお送りするなど、個人情報の扱いには十分に注意しましょう。

※事業を成長させるためにどうすればいいか?個人事業主としてもっと会社としてしっかりさせるにはどうしたらいいかと悩んでいる人向けに一つの例として書いてみました。個人事業主は厳密に決められている部分も少なく、『必ずこうしなければならない』という部分が法人に比べて圧倒的に少ないです。が、だからこそ知らぬ間に損をしてしまっている場合も多くあるため、情報収集はある程度行うといいかと思います。

『うちはこうしたいんだ』『そんなことしなくてもうちは大丈夫』と思っている人、自分のやり方を確立している方は上記のやり方を無理に実行する必要はありません。個人事業主は『自分のやり方をいかに確立させるか』が大切だと感じています。

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