『社長なのに金ないとかダサい』とわかり切ったように見下す輩

世間のイメージとして、会社のトップであり経営者である社長はみんな金持ち と思っている人がとても多いです。しかし、社長だから金持ちではないのです。社長は自分の会社を維持・成長させ、従業員がいたらその人たちを食わせていかねばならない立場。要は『金を捻出し支払っていく能力を要する』存在なのです。社長は金を集めるのが仕事です。だからある意味金を持っていて当たり前の立場なのです。

好き勝手に自分の物を買い漁り、豪遊しているわけではありません(中にはいるでしょうが)。個人事業主は組織ではなく自分だけで経営している人が多いので、結構見積を出したり経営している話をすると『請求書の金額=その人が自由に使える金』と勘違いされるケースが多いです。だから勝手に『そんなに金額もらってどうすんの?一人なんだからもっと少なくてもやってけるでしょ?』などと言われてしまいやすい立場です。

個人事業主だからといって、いただく金額全てが給料なわけではないのです。そのお金の中には人件費のほか、

  • 材料費
  • 労務費
  • 旅費交通
  • 保証を取り入れている場合にはその分いくらとして算出するか

等以外にも、このいただく金額の中で会社の維持もしなければなりません。このような理由があるから、アルバイトや派遣などよりも金額が高くなるのですが、それを理解していない人が多く、単純に一人でやってるし個人だからもっと安くていいでしょ と思われてしまう。そういった意味では個人事業主は非常に働きにくい立場だと感じます。おまけに施工する工事のお客様から見た価値も考えると、自分の欲だけで金額を決めることはかなり難しいと思います。腕で仕事を取っている人はマイカー持ってて自由にやりたい仕事してうらやましい と思われているかもしれませんが、実際には仕事で使う必要のあるものにお金はかけても、自分自身はつつましく生活しているのではないかと思います。技術職って案外そういうものかもしれません。

腕がいいと、業者からあれこれ要求が増えて、結果的にいいように使われるだけで大してお金にもならない。いい職人ほどそういう仕事は嫌がりますから、『そんな仕事受けるくらいなら仕事量減らしてでもつつましく生活しながら自分のブランディングに合った仕事をしたい』と思うのではないでしょうか。というか、そうしていかないと自分の技術の無駄遣いをすることになる。そんなしょうもない業者に気に入られるために腕を磨いてきたわけではないのだから。

個人事業主というのは、その中でもいろいろな働き方があってかなり特殊なものだと思います。だからこそ間違った解釈をされがちです。法人の社長も数々の悩みで大変だと思いますが、個人事業主の社長もなかなか大変です。1人でやっていれば、社長業と技術職両方に目を向けなければならない。これらは絶対にかみ合うことはないので、それを1人でやるって、禿げます。結局技術屋として通したい筋があるのなら、ある程度経営はあきらめなければならないし、社長として会社を成長させたければ、技術屋としての様々なことをあきらめなければならない時期がきっとくる。結局は個人事業主それぞれがどの路線でやっていきたいかだと思います。金がなくても技術屋としてものすごい人もいるし、大して技術もないのにやたら有名で名前が売れてる会社もあります。どうなっていきたいかは自分次第。だから、必ずしも社長が儲かっているとは言い切れないのです。金ないことがダサいと見下されて悩んでいる人は、『あなたは相当凄腕なのでしょうね?今度あなたの仕事見せてください』とでも言ってごらんなさい。そういう人は決まって言われたらたじろぐし、大した人間ではない。そんな人と関わっても何のメリットもないと思ってこちらから切ってやりましょう。

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